まつ毛パーマの自宅サロンを開くには、美容師免許と、保健所に出す美容所開設届の2つが欠かせません。この記事では、自宅サロン開業の手続きを順番に整理します。
- 自宅サロンに必要な資格と、保健所へ出す書類の中身
- 自宅の一室が満たすべき広さ・設備の条件
- 税務署に出す開業届の期限と、開業までの期間の目安
結論として、いちばんの近道は「工事や家具を決める前に、保健所へ事前相談に行くこと」です。順番をまちがえると、内装をやり直すことになります。

自宅サロンの開業手続きは、全部でいくつありますか?
大きく4つです。保健所に2つ(事前相談と美容所開設届)、税務署に2つ(開業届と青色申告)と覚えてください。
| 手続き | 出す先 | 期限の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 美容所開設届 | 管轄の保健所 | 開設予定日の10日前まで | 16,000〜24,000円(目安) |
| 従業者の健康診断書 | 保健所(開設届に添付) | 開設届と同時 | 5,000〜10,000円(目安) |
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 税務署 | 事業開始から1か月以内 | 0円 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業から2か月以内 | 0円 |
表の金額はいずれも目安です。美容所開設届の手数料は自治体ごとに条例で決められていて、16,000円前後(目安)のところもあれば、24,000円ほど(目安)のところもあります。開業予定地の保健所で必ず確認してください。なお、この記事の制度内容は2026年8月時点のものです。最新の情報は各自治体および国税庁の公式サイトでご確認ください。
自宅でまつ毛パーマをするのに、美容師免許は必要ですか?
必要です。まつ毛パーマは美容師法上の美容行為にあたるため、免許のない人が施術することは認められていません。
2008年(平成20年)に厚生労働省から出された通知で、まつ毛パーマやまつ毛エクステンションは「美容」に含まれるという整理が示されました。エステティックの民間資格やアイリストの認定資格をいくつ持っていても、国家資格である美容師免許の代わりにはなりません。
そしてもう一点、見落とされやすいルールがあります。美容師法では「美容師は美容所で美容を行わなければならない」と定められています。つまり、免許を持っていても、届出をしていない自宅の部屋で施術することはできません。免許と美容所の届出は、いつもセットで考えてください。
用語のおさらい
美容所(びようしょ)… 美容の業を行うために設けられた施設のこと。保健所に届け出て検査を受けた場所だけが美容所になります。
管理美容師(かんりびようし)… 美容所の衛生管理を担当する人。美容師が2人以上いる美容所に置くことが義務づけられています。ひとりで開業する自宅サロンでは不要です。

保健所への届出は、いつ・何を出せばいいですか?
開設予定日のおおむね10日前までに、管轄の保健所へ美容所開設届を出します。期限は自治体によって少し変わります。
流れは次のとおりです。書類を出して終わりではなく、そのあとに保健所の職員が実際に部屋を見にくる「立入検査」があります。ここに合格してはじめて営業できます。
- 事前相談:平面図(間取り図)を持って保健所へ。工事や家具の購入前に行きます
- 美容所開設届の提出:開設予定日の10日前までが目安
- 立入検査(構造設備検査):日程を調整し、設備がそろった状態で受けます
- 確認済証の交付:交付を受けてから営業開始
開設届に添える書類は、おおむね次のようなものです。自治体の様式が決まっているので、ホームページから最新版をダウンロードしてください。
- 美容所開設届(自治体の様式)
- 施設の平面図と、周辺の見取り図
- 美容師免許証(原本の提示を求められます)
- 従業者名簿
- 医師の健康診断書(結核・皮膚疾患について。発行からおおむね3か月以内)
- 管理美容師修了証(美容師が2人以上の場合)
- 法人の場合は登記事項証明書
事前相談を先にすませておくと、検査で指摘される点をあらかじめつぶせます。逆に、内装を仕上げてから相談に行くと、床材の張り替えや区画のやり直しが発生することがあります。ここが自宅サロンでいちばんつまずきやすい場所です。
自宅の一室をサロンにするには、どんな条件が必要ですか?
作業室は13平方メートル以上、床は水がしみ込まない材質、手洗いと消毒の設備が必要です。基準は自治体の条例で決まります。
美容師法と各自治体の条例で、美容所の構造設備の基準が定められています。代表的なものを挙げます。
- 作業室の広さ:13平方メートル以上(美容いす6台まで)。待合場所や消毒室の面積は含みません
- 床と腰板:コンクリート、タイル、リノリウム、板など、水がしみ込まない材質にすること
- 区画:住居部分や待合スペースと、作業室をはっきり分けること
- 手洗い設備:流水式の洗い場を設けること
- 消毒設備:消毒済みの器具入れと、未消毒の器具入れを別に用意すること
- 採光・照明・換気:作業面の明るさや、室内の二酸化炭素濃度に基準があります
自宅サロンでとくに問題になりやすいのが「区画」です。玄関からリビングを通って施術室に入る動線だと、住居と分かれていないと判断されることがあります。施術室に外から直接入れる出入口を求める自治体もあります。ここは地域差が大きいので、事前相談で必ず確認してください。
また、賃貸住宅や分譲マンションの場合は、法律とは別に契約や管理規約の確認が要ります。「住居専用」と決まっていると、条件を満たしていても営業できません。物件を決める前に、大家さんや管理組合に相談しておくと安心です。
これから自宅サロンを始める方へ
Mermaid Lash Lift は、個人サロン・自宅サロンからの導入も多い業務用ラッシュリフト剤です。技術講習から薬剤のお届け、集客のサポートまでをまとめてご案内しています。くわしくはサロン向けのご案内ページをご覧ください。

税務署に出す開業届は、いつまでに出せばいいですか?
事業を始めた日から1か月以内です。青色申告を選ぶなら、開業から2か月以内に承認申請書もあわせて出します。
提出するのは「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類で、費用はかかりません。税務署の窓口でも、郵送でも、e-Tax(国税庁のオンライン申告システム)でも受け付けてもらえます。
あわせて出しておきたいのが「所得税の青色申告承認申請書」です。青色申告にすると、最大65万円の特別控除(e-Taxでの申告と複式簿記が条件)が使えます。この65万円は目安ではなく、所得税法で定められた上限額です。白色申告のままだとこの控除はありません。開業から2か月を過ぎるとその年は青色申告にできないので、開業届と同時に出すのが確実です。
会社を辞めて独立する場合は、国民健康保険と国民年金への切り替えも忘れずに。市区町村の窓口で、退職から14日以内が原則です。

開業までの期間と費用は、どのくらいが目安ですか?
準備を始めてから営業開始まで、2〜3か月みておくと安心です。費用は自宅サロンなら25万円前後からが目安になります。
内訳の目安は次のとおりです。物件を借りずに自宅を使えるぶん、テナント型より初期費用はぐっと抑えられます。
- 技術の講習費:Mermaid Lash Lift の講習は22万円(目安)
- 薬剤・ツールの初回セット:30,000円〜(目安)
- 保健所の手数料と健康診断書:2〜3万円ほど(目安)
- 施術チェア・シャンプー台・消毒設備などの設備:数万円〜(目安)
合計25万円〜(目安)というのが、自宅サロン開業のひとつの基準です。テナントを借りる場合の費用感や、補助金を使った講習費の抑え方については、アイリスト独立の費用と流れでくわしく解説しています。
現場からのひとこと
開業のご相談をいただくとき、いちばん多いのが「保健所に行く前に内装を決めてしまった」というケースです。床をカーペットにしてしまった、住居との仕切りをつけていなかった。あとから直すと、費用も時間もよぶんにかかります。
保健所の事前相談は無料で、間取り図があれば受けてもらえます。「まだ何も決まっていないのですが」という段階で行って、まったく問題ありません。むしろその段階のほうが、担当の方も具体的にアドバイスしてくれます。
それから、開業日から逆算してスケジュールを引くこと。立入検査の日程は保健所の都合もあるので、希望どおりに取れるとは限りません。オープン日を先に告知してしまうと、あとで苦しくなります。
あわせて読みたい記事
次の記事のタイトルに出てくる金額は、いずれも目安です。
よくある質問
賃貸マンションの一室でも、自宅サロンは開けますか?
建物の条件しだいです。保健所の構造設備の基準を満たしていても、賃貸借契約や管理規約で「住居専用」と決まっていれば営業できません。物件を決める前に、大家さんや管理組合への確認をおすすめします。
まつ毛パーマだけなら、美容所の届出はいらないのでは?
必要です。まつ毛パーマは美容師法上の美容行為にあたるため、届出をして検査に合格した美容所で行うことが求められます。届出のない場所での施術は美容師法違反になります。
美容師が自分ひとりでも開業できますか?
できます。管理美容師を置く義務があるのは、美容師が2人以上いる美容所です。ひとりで運営する自宅サロンなら、管理美容師の講習を受ける必要はありません。
開業届を出さないと、どうなりますか?
青色申告ができず、最大65万円(目安ではなく所得税法上の上限額)の特別控除や屋号名義の口座が使えません。所得税法では事業開始から1か月以内の提出が定められていますので、早めに出しておくと安心です。
導入のご相談はこちらから
自宅サロンでの Mermaid Lash Lift の導入、講習の日程、補助金の使い方などは個別にご案内しています。サロン向けのご案内をご覧いただくか、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
執筆:Mermaid Lash Lift 運営チーム

